【徹底解説】ポーカーのSPRとは?
目次
SPRとは
SPRはStack to Pot Ratiosの頭文字を取った略語で、日本語では「ポットとスタックの比」のように訳されます。ポットに対して現在どの程度のスタックを持っているかを表す概念で、それ以降のプレイラインの判断をするための重要な基準の一つのことです。
計算方法
SPRを計算する上でエフェクティブスタックをまず理解する必要があります。
エフェクティブスタック
それ以降にポットに入りうる最大のスタック量
例えば、プレイヤーAとプレイヤーBの二人がポットに参加していて、プレイヤーAのスタックが100BB、プレイヤーBのスタックが80BBの場合、エフェクティブスタックは80BBとなります。
続いてSPRは下記になります。
SPR
エフェクティブスタック / ポットサイズ
例えば、プリフロップの段階で2人のプレイヤーが参加し、ポットには20ドル、エフェクティブスタックが100ドルだとします。この場合のSPRは100 ÷ 20 = 5のように計算でき、SPRは5であるということが分かります。
SPRの重要性(ハンド・ポジションとの関係性)
SPRは、アクションを決定する上で必要不可欠です。
なぜならハンドやポジションと切っても切れない関係にあります。SPRを考えアクションすることで利益を最大化、損失を最小化する事ができます。
SPRとハンド
- SPRが大きい時
「ナッツ級になり得るハンド」の価値がすごく高くなるので、投機的なハンド、すなわちローポケットやスーテッドコネクターのようなハンドの価値が上がります。
- SPRが小さい時
ナッツ級になり得るハンドの価値が少し低くなるので、オーバーペアやトップペアのようなハンドの価値が上がります
SPRとポジション
ポーカーはそもそもインポジが有利なゲームですが、SPRが大きい時は、小さい時に比べてポジションがより有利になります。
理由は、SPRが大きい分ナッツ級になり得るハンドの価値が高くなり、さらにターンやリバーまでカードを見られる可能性が高く、各ストリートで相手のアクションを見てから自分のアクションを行える点で有利だからです。
SPRとベットサイズ
SPRが大きい時はベットサイズが大きくなり、小さい時はベットサイズが小さくなります。
理由は 、SPRが小さければ小さいほどコミットの概念が重要になります。極端に小さい場合は強くコミットを意識して柔軟な対応が必要です。
コミット
手持ちのチップ全てを賭けても期待値がプラスになるような状況」を指し、「コミットする」のような表現をすること。
よくあるシチュエーションとしては、相手のベットに対して自分はドローハンドを所持していて、現状負けている可能性は高いもののオッズが高くて降りることができないという例が挙げられます。
SPRが大きい場合
ローポケットやスーテッドコネクターのような投機的なハンドの価値が上がります。
ローポケットはフロップやターンでセットを引くことが出来れば、相手のオーバーペアやトップペアから(SPRが大きい分普段よりも)大きくチップを取ることが出来ます。
スーテッドコネクターは(SPRが大きい分)ターンやリバーまでカードを見られる可能性が高くなるため、ドローの価値が上がり、フラッシュやストレートのような強い手を狙いやすくなります。
しかし、相手が自分よりも強いセットやストレート、フラッシュを持っていた場合は逆に全てのチップを取られてしまう可能性もあるので、過信は禁物です。
SPRが大きい場合のプリフロップ
プリフロップ
SPRが大きい時は、プリフロップでのレイズサイズや3ベットサイズも大きくなる傾向にあります。また、相手の3ベットに対して普段よりも広くコールできる傾向にあります。
今回はBTNの3BBオープンに対してBBから3ベットをしますが、標準的な4~5倍よりも少し大きいサイズで17BBの3ベットをしました。
SPRが大きい場合のフロップ以降
フロップ
一概には言えませんが、SPRが大きければ、フロップ以降のベットサイズも大きくなる傾向にあります。あまりにも小さいベットサイズを採用してしまうと、SPRが大きいが故に、相手の投機的なハンドに十分なオッズを与えてしまう可能性があるからです。
今回BBはトップ2ペアとなり、とても強い手が完成しました。状況次第では安いCBも考えられますが、SPRが普段より大きくなっているので、ハーフポットより少し高い18BBのCBを選択しました。
SPRが小さい場合
オーバーペアやトップペアのようなハンドの価値が上がります。SPRが低い分、フロップやターンの時点でオールインに持ち込める可能性が高いため、相手のドローのエクイティを効果的に消しつつ、ミドルヒットなどからバリューを取ることができます。
SPRが小さい場合のプリフロップ
プリフロップ
SPRが小さい時は、常にコミットを心がけながらプレイする必要があります。
今回はCOの2.5BBのオープンに対して、SBから❤Q❤Jで9.5BBの3ベットをしました。ここで、例えば12BBのような高額の3ベットをしてしまうと、COから4ベットオールインが来た場合にコミットしてしまい、コールせざるを得なくなってしまいます。
自分の3ベットレンジのなかに、相手にコールされても戦え、相手のオールインに対する降りしろを準備でき、最もエクイティの実現をしやすいかつ、レンジのEVを挙げることができます。
4ベットオールインが来た際にはコミットせずにフォールドすることができる額として、9.5BBを採用しました。
SPRが小さい場合のフロップ以降
フロップ
フロップでも引き続きSPRを考慮する必要があります。
今回SBにはオープンエンドストレートドローとバックドアフラッシュドローがあるので、ベットしていきたいです。
しかし安い額のCBを打ってしまうと、やはり相手のオールインに対してコミットしてしまいます。
そのため、こちらのオールインに相手がフォールド、またはオールインコールの方がEVが高いことが多いので、今回は少し大きいサイズではありますがフロップでオールインをすることで、相手に最大限にプレッシャーを与えにいきました。
まとめ
本章ではSPRの計算方法、重要性などについて解説しました。
SPRを考えながら、ベットサイズなどを決めてアクションをすることで利益を最大化することができます。
SPRが大きい場合、小さい場合でも適切に対応できるようになりましょう。