エクスプロイト戦略を徹底解説!!GTOを知らずしてエクスプロイトするべからず!!
ポーカーをプレイする上で最も重要なことはなにでしょうか。それはポーカーに詳しくなることでも完全に理論通りにプレイできることでもありません。 大切なのは、長期的に見て最も大きな利益をあげることです。これを実現するために理論の学習やハンド解析、プリフロップの暗記など様々な事柄が必要になってきます。
本章では利益を最大限大きくし、損失を最小限にするために非常に重要な「エクスプロイト戦略」について解説していきます。
目次
エクスプロイト戦略
エクスプロイト戦略とは?
そもそも「エクスプロイト戦略」とはどのような戦略でしょうか。英語でいうExploitとは「利用する、搾取する」といった意味があります。ポーカーにおけるエクスプロイトはこの「搾取する」という意味に最も近いです。
エクスプロイト戦略は相手のプレイスタイルや傾向を見抜き、その弱点を突くような戦略を組むことを指します。要は「相手の誤ったプレイを最大限に利用する」ことが目的です。
ゲーム理論上最適解とされるGTO戦略が理論的な最適解を求めるのに対し、エクスプロイト戦略はあえてGTO戦略から異なるプレイをすることでEVの最大化を目指します。
エクスプロイト戦略のイメージ
まずじゃんけんを例に取って考えてみましょう。理論上最もバランスの取れた最適戦略はグー、チョキ、パーを33.3%ずつ出すということは感覚的にも分かるかと思います。
しかし、もし相手がグーを40%で出していてパーとチョキを30%ずつ出しているとしたらどうでしょうか?もちろんあなたは33.3%ずつ出しても勝率が下がることはありません。
しかし、パーを100%の頻度で出せば勝率は40%まで引き上げることができます。この6.7%の利益を取りに行くことこそがエクスプロイト戦略になります。
つまり、相手が最適戦略(GTO)からずれている部分につけこみ、あえて自分のアクションを変えることでEVを最大化する戦略になります。
ポーカーにおける最適戦略(GTO)は非常に複雑であり、どのようなプロでもGTOを完全に再現することは難しく、必ず癖や傾向があります。その癖を見抜くことがエクスプロイトをする鍵になります。
エクスプロイト戦略の考え方
前節で述べた傾向を見抜くためにはどうすればいいでしょうか。例えばじゃんけんであれば何度か繰り返しているうちに感覚的に33.3%よりも多いな、少ないなということが分かるかと思います。
ポーカーでも実は同じなのです。GTOよりもアグレッシブだな、パッシブだな、ということがハンドを重ねていくうちにわかってきます。そのような情報を拾って、エクスプロイトをすることになります。
相手のスタッツが出てくるようなオンラインポーカーでは数値を参考にエクスプロイトをすることができますが、ライブやスタッツがあてにならないような特殊な状況では、相手をしっかりと観察しプレイの傾向をGTOと比較する必要があります。
相手の傾向を把握するためには、そもそも基準となる軸が必要であり、その軸がポーカーの場合はGTOなのです。つまりエクスプロイトをできるようになるためには、まずGTOの学習が必須となります。
GTOについての理解が深まった上で、しっかりと状況を把握し、相手の傾向を掴めた時にこそとる戦略、それがエクスプロイト戦略です。
具体的な傾向とアクションの決め方
具体的にどのような相手に対して、どのような戦略を取ることができるか解説していきます。比較的多く見られるGTOから乖離したプレイを紹介します。
ドローハンドをコールしすぎる
特徴
- ベットやレイズに対して、オープンエンドやフロッシュドローでオッズに合わないコールをして降りないプレイヤー
見抜き方の例
- ガットショットのみなどでフロップ、ターンとコールしていないか。
- フラッシュドローやオープンエンドでオッズ(インプライドオッズ)があわないベットに対してコールしていないか。
対応策
- バリューベットの場合は、ベットサイズを大きくする。
- バリューベットの下限を広げて、対戦相手がコーリングステーションならシンバリューベットを積極的に打つ。
- リバーでドローが完成するカードが落ちた時にはベットレンジを狭くし、落ちなかった場合はブラフ頻度を普段よりも高くする。
レイズがほとんどない
特徴
- ほとんどのハンドでレイズせずにコールしかしないプレイヤー
見抜き方の例
- レイズ頻度がそもそも非常に低くはないか。(チェックレイ ズならば多くの場合に適正は10%程度)
- ショーダウンではバリューハンドに寄っていないか。
- バリューハンドを持っているときに多くのハンドをスロープレイに回していないか。
対応策
- フロップでのCB頻度を上げ、幅広いハンドでベットするようにする。
- フロップのCBにコールされた場合には相手のレンジが強いことを意識してターン以降の自分のアクションを考える。
- レイズが返ってきた場合はほとんどフォールドする。
CBにコールしすぎる
特徴
- CBに対して2オーバーやバックドアなどでオッズの合わないコールしすぎてるプレイヤー
見抜き方の例
- CBに対するフォールドの頻度が少なすぎないか。
- ショーダウンでフロップのコールレンジに残らないようなハンドが出てきていないか。
対応策
- CB頻度を下げて、ベットレンジをリニアに構成する。
- バリューベットの場合は、ベットサイズを大きくする。
- 相手のコールレンジが弱くなっているのでダブルバレルを積極的に打つようにする。
ブラフが多すぎる
特徴
- ストレート、フラッシュドローを引けなかったすべてのハンドでブラフを打ち、ブラフ頻度が高すぎるプレイヤー
見抜き方の例
- 明らかにベット、レイズ頻度が適正値より高くはないか。
- ショーダウンでブラフの下限を確認した際にブラフレンジに入らないハンドでブラフしていないか。
- オフスーツのハンドの多くをブラフに回していないか。
対応策
- こちらのチェックレンジを強くして、相手のベットに耐えられるようにする。
- バリューレイズの下限を広げ、より多くのハンドでレイズするようにし相手にフォールドさせる。
エクスプロイトを上達させるには?
実際にポーカーをプレイしているときに最も大切なことは、
- テーブルの状況
- 相手から見た自分の傾向
- 相手のプレイスタイル
上記をよく観察し、相手のレンジ構成を読み解き、それに対して最もEVが高くなるアクションを常に考え意思決定をすることです。
これを繰り返し行い、精度を上げていくことがエクスプロイトを上達させる唯一の近道です。この効率を最大化するためには、GTOについての理解を深めるとともに、相手がGTOから外れていた場合の解析が非常に効果的です。
まとめ
エクスプロイト戦略は、相手の弱点を突くことを目指す高度な戦略であり、逆に考えるとGTOから外れたプレイをするということはエクスプロイトされるリスクもあり、「諸刃の剣」とも言えます。
エクスプロイト戦略を効果的に使うためには、まずGTO戦略を理解し、その上で相手の傾向を見抜き、具体的なアクションを決定します。この一連の流れを理解し、実践できるとポーカーの腕が格段に上達します。
エクスプロイト戦略は難易度が高いかもしれませんが、それだけに習得したときの効果も大きいです。一歩ずつ確実に進んでいき、最終的にはポーカーテーブルで圧倒的な優位性を築くことを目指しましょう。
以上が「エクスプロイト戦略を徹底解説!!GTOを知らずしてエクスプロイトするべからず!!」というテーマについての解説でした。是非、あなたのプレイに役立ててください。